森章二
書簡集
 書簡 その129  中沢池公園                            (平成17年6月18日)
 多摩センター駅の近くに中沢池公園がある。ここもハナショウブが咲いていると云うので出かけてみる。湿地帯
 なのでヘビがいると聞いていたが、今回も青大将の若者が歩いていた。アゼ道ではベニシジミチョウが美しい姿
 を見せていた。実に久しぶりに見る、可愛い蝶。奥まで行くと池で10人ほどの人たちがフナ釣りをしている。
 見ているとキャッチアンドリリースで釣堀の様な雰囲気で、のどかに釣っているのがよい。近くで鯉が泳いでいた。
中沢池公園 ベニシジミ
釣堀 青大将君
 書簡 その128  ラワンブキ                             (平成17年6月17日)
 北海道の知人よりラワンブキを送っていただいた。高さが2m以上にもなるあれである。 カミさんが早速茹でる。
 その皮剥きを手伝わされる。たっぷりと・・・・。その晩、食べた蕗の煮物はことのほか旨かった。
 書簡 その127  桑の実                               (平成17年6月14日)
 近所の空き地の桑の木がたくさん実をつけている、と聞いて出かけてみる。指先より大きな紫色の実がいっぱい。
 足もとも紫色に染まっている。子供の頃、口の周りや指先をマックロにして食べた「あいつ」だ。
 最近は健康食品として血液の浄化作用があると人気がある。早速採って帰って、焼酎漬にしてみる。
 今年は終わりがけでチョットだったが、来年は沢山漬けたい。
 書簡 その126  ハナショウブ                            (平成17年6月12日)
 先週、各地でハナショウブが開花という新聞記事を見て、近くの薬師ヶ池公園の菖蒲園に飛んでいった、ちょっと
 早すぎた(7日)。今日は朝から雨との天気予報だったが、起きてみるとピーカン。「よしッ!」っと青梅に向う。
 塩船観音にお参りして「吹上しょうぶ公園」に行く。216品種が植えられているそうだが、現在の開花はまだ40種
 たらずとのこと。それでも美しい花は見事だ。谷戸と呼ばれる狭い山間に、よく手入れされた一画は豊な水辺。
 スイレン、ヒツジグサ、アサザが満開。水路にはメダカや小魚、オタマジャクシ(よく見る3種類はいた。)なによりも
 感動的だったのは何十年ぶりに野生のゲンゴロウとミズスマシを見かけたことだ。近年デパートの屋上かペット屋
 の店先でしか見たことがなかったが、子供の頃は東京の町中でも池やプールで普通に見つけることが出来たもの
 だ。花は今月下旬まで楽しめるそうです。気をよくして梅巌寺に回り、葉の繁ったシダレザクラを観て帰る。
■塩船観音
■吹上しょうぶ園
■梅巌寺
 書簡 その125  観光客が似合う街                        (平成17年6月9日)
 「全国津々浦々は、どうなったんだ」というメールを頂いた。ごめんなさい。番外編で全国を巡ったら、チョット休憩に
 なってしまった。思い出を語る前に近場でと思い、川越へ出かけて見ました。本当のところ、昔は街の真ん中の古い
 軒並みの通りをトラックが走る、歩きにくい薄汚い街というのが川越の印象だったんです。しかし久々に訪れた川越
 は住人達の協力で、小江戸と言われ、人々が訪れるようになり、車道は整備され、砂利道は石畳に、そこ此処人が
 あふれる現在。見違えるように活気のある素晴らしい街に変身していました。古い街道を残す街でこんなに観光客
 の似合う所は全国でも他では見ることが出来ないくらい、楽しい街でした。
 菓子屋横丁も賑わいがピッタリ。時の鐘を中心にして、五百羅漢で有名な喜多院までの散歩の距離も、駅や商店街
 等への距離も遠すぎず近すぎず。一日遊ぶには絶好な街でした。僕の好きな街の一つになりました。
 観光地としてつまらなくなる所が多すぎる中、ステキな変身を遂げた川越。古さが現代にマッチした息抜きの出来る
 街、川越。オススメです。
 全国津々浦々はボチボチ進みます。
 書簡 その124  野外で遊べ!                           (平成17年6月3日)
 最近、ガンコで自分の考えを変えない子供が増えていると聞く。室内で一人で遊ぶ。ゲーム等も対自分。成長して
 パソコンをやっても、機器と向かい合うだけで、他人と触れ合うことが少ないから、協調性に欠ける。信念を持つこと
 は結構だが、ただガンコなだけに見える。近頃は屋外で遊んでいる子供は見かけないし、道ですれ違っても、知らん
 顔。もっとも危険だから知らない人と話をしてはいけないと教えられているのだろうが・・・。味の無い世の中になった
 もんだと思っていたが、先日、丹沢の河原を散歩していたら、真っ黒になって遊んでいる子供たちが、デッカイ声で
 「こんにちは」と云った。ビックリしたが嬉しくなって、こちらも大声で「こんにちは」と答えた。これだよね。人間は。
 子供の顔が輝いて見えた。子供の頃、夏休みに田舎に行くという友達を羨ましく思ったが、あいつらも、きっとこんな
 顔で、思いっきり遊んでいたんだろうなぁ・・・
 書簡 その123  八ツ割れ(八ツ折れ)                       (平成17年6月1日)
 下駄で思い出したが、明治から昭和に掛けての芝居に必要な履物に、「八ツ割れ」がある。僕の子供のころには
 下駄屋で売っていたのだが、最近は、とんと見ない。小道具屋さんに聞くと、浅草で売っているというので探しに
 行った。片っ端から履物屋めぐりをしたが見つからない。中には、八割れって何ですか?という下駄屋もあって
 「バカヤロウ」と言いたかったが、もう若くないので、黙ってでてきた。十数件回って、扱っている店が二軒。一軒
 は品切れだったのだが、ついに見つけた。
 元々、木っ端で作る、上等なものではなく、下駄より安いものだったはずだが、最近は、作る手間が掛るためか
 高価なものになっている。説明するより、写真を見てください。
 「花と龍」や「無法松の一生」という芝居でゴンゾ等で履いたものです。子供の頃にはアロハシャツを着たアンチャン
 が履いているのを見たことがあります。今履くと、洒落た感じで良い物だと思うのですが・・・。
 畳表に六つに割った木の底。なんで八割れっなんですかね。
 書簡 その122  下駄                                 (平成17年6月1日)
 僕はこの季節になると下駄を履く。素足に下駄は気持ちがいい。もっとも撮影所では役者はみんな下駄だけど・・・
 時代劇の扮装で靴では不便だし、第一、格好が悪い。それでみんな下駄か雪駄になるのだが、なぜか下駄の人
 のほうが多い。雪駄より高い分、ホコリがつきにくいような気がするし、チョットでも背が高く見えるという役者根性
 の表れかもしれない。昔は鼻緒が傷んで、挿げ替えたものだが、現在は丈夫な鼻緒が付いているので台の方が
 先に傷む。材料が悪いのか、道路がアスファルトになったためか、下駄の歯がすぐに減る。重心によって左右どちら
 かに傾くか、平らに減っても真っ二つに割れる。薄くなった下駄が何処までもつか競ったりする。
 銭形平次の撮影のときだった。離れたところに脱いだ下駄を、若い子に取ってくれと云うと、傍で見ていた平次の
 橋蔵親分が「森チャン、それは下駄って言わないんだよ。それは板って言うんだよ」と言った。笑いながら橋蔵さん
 の足元を見ると、やはり 板 だった。
 後年、若い連中が自転車のゴムタイヤを切って、歯に貼るようになった(撮影所の定番になる)。僕も貼ってもらった
 が背は高くなるし履き心地も悪くない。ささやかな自衛手段だが、これじゃあ下駄屋はたまらない。
▲我が家の下駄 ▲ゴムタイヤを貼ってあります。