森章二
書簡集
 ■書簡集 平成18年4月分です。
 書簡 その184  左きき                            (平成18年4月11日)

 左義長(さぎちょう)。正月十五日に行われる、悪魔祓いの火祭りのことで松飾を焼く行事のこと、そう
 ドンド焼きのことです。この左義長から、左ききのことを、ひだりぎっちょ→ぎっちょ・・・と言ったのです。
 左利きは器用だといいます。二刀流の使い手、宮本武蔵はぎっちょで、絵や書は左手で書いたとの説
 があります。この話は、放送では出来ないんです。何んででしょうね。
 書簡 その183  宮様のしだれ桜                      (平成18年4月9日)
 
 秩父宮記念公園。秩父宮家の別荘が静岡県御殿場インターのすぐ近くにありました。宮様お隠れ後、
 市が管理していたのですが、3,4年前から一般に開放。市民の憩いの場になっています。そこに藁葺き
 屋根の母屋を挟む様に、二本の枝垂れ桜の古木があります。
 美しい花が咲き始めるとライトアップされるのですが、他のところと違うのは、この期間中は無料なのです。
 普通はその期間中だけ有料というところがほとんどだと思うのですが、御殿場って面白いですね。
 書簡 その182  知らない町                         (平成18年4月7日)

 全国を旅して、知っているつもりが、まだまだ知らない所がいっぱいあるもんだと思いました。昨日行った、
 「伊勢は津で持つ、津は伊勢で持つ。尾張名古屋は城で持つ・・・」唄に歌われた、あの津。全国で唯一
 かな一文字の市。歴史は古く、知らぬ人とてないほど、有名な街。僕は以前から何度も通りすぎたのに
 津の事は、何にも知らなかったんだと思い知らされた。まず面白かったのは、天むす、味噌カツ、たいやき
 いちご大福・・・これらすべてが実は津が元祖発祥の地だということ。(津市観光協会のパンフレットに詳しく
 出ている)。天むすや味噌カツは名古屋の物だと思っていましたよねぇ。たいやきや、いちご大福だって・・・。
 次に寺内町があるというので訪ねてみた。奈良の今井町が有名だが、此処も知る人ぞ知る、だそうだ。
 一身田・高田本山専修寺。周囲を環堀に巡らされ、守られた町。本当に静かで、信仰心の強い方々が
 参詣に訪れる以外は観光客らしい姿を見ない。専修寺は山門(唐門)鐘楼、御影堂等々、立派なもので
 門の前にさらにくぐるような門が設けられているのは初めてみた。町並みを歩くと、細い路地の板張りの
 家に懐かしさを感じる。このままではもったいない。もっと大勢の人に知ってもらいたい。一つ難を言わせて
 もらえば、古い町並みに電柱が多く、家並みの写真が撮りにくいこと。景観が悪いので地中に埋めると
 もっとすっきりするのでは、と思う。専修寺の境内で鉢植えの蓮の植替えをしていたが、大変な数だ。
 八月、花の咲くころ、ぜひ来てみたいと、心を残しながら仕事場へ・・・。
 書簡 その181  桑名を訪ねて                        (平成18年4月2日)
 
 先日、桑名に行ったんです。「その手は桑名の焼きはまぐり」。。。あの桑名です。桑名城址の九華公園から
 七里の渡しへ。此処から海路七里を渡って、熱田の宮の渡しへ。東海道を上り下りした旅人達とは別に、伊勢
 参りの人々でも賑った宿場町。城下町であり港のある交通の要として、当時、最も栄えたこの街も、往時の
 面影は少なく、ただ静かな・・・。旧市街を散策して目立ったのは、当然のことながら、佃煮屋の多いこと。
 それもほとんどが「貝新」という屋号。寺町通り商店街を歩いていて、たまたま入った一軒で面白い物を見つけ
 て、面白い話を聞いた。面白い物とは、ウインドウの上に置かれていたノラクロの焼き物。女性の握り拳ほどの
 大きさで、素朴そのもの。立ったり座ったり、色々で10数体(写真はガラスに反射して失敗)。これだけ集める
 のは大変な事だったろう。あんまり楽しいので話を聞くと、おかみさんが出てきて、自分の趣味だとおっしゃる。
 そして、褒めてほしいのは、こっちだと指差す方に、タヌキがハマグリを担いだ焼き物が鎮座している。
 これも珍しい。話が弾んで屋号の話になった。貝新を名乗る店は5軒。十代ほど以前、五人兄弟がそれぞれ
 分家。男子四人、娘一人が独立して独自の味を競ってきたそうだ。全国に支店を出している有名店が実は
 五つの別々の店だったとは。地元では常識の様だが、初めて聞いてビックリした。因みに「家は十代目です」
 とおっしゃる。「あさり」と「はまぐり」のしぐれ煮を購入したが、どちらも甘みがほとんどなく、僕の好みにピッタリ。
 これも何かの縁。食べ比べる事なく、これからはこの店に決めた。